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眞栄田とも子とアトリエKELENについて

眞栄田とも子とアトリエKELENについて

眞栄田とも子

略歴

東京都生まれ

東京藝術大学美術学部工芸科彫金専攻卒

Ⅰ .作品について

1、彫金技法

金属の色の違いが作る世界観を大事に

私の作品では、気色(けしき)が感じられることを最も大切にしています。

それに不可欠なのは色金(いろがね)と呼ばれる金属の存在です。

色金とは、金、銀、銅などの金属を混ぜて作り出す合金の総称で、合わせる金属や、配合割合、仕上げ方法の違いで様々な色を出すことが出来、赤銅(しゃくどう)、四分一(しぶいち)などがあります。

これらの色金に煮色(にいろ)と呼ばれる着色技法を施すと黒、グレーなどの色に変化します。

色金のグラデーションが作る世界は、淡く、奥ゆかしく、それでいて強く、人の心のひだにそっと寄り添ってくれると感じます。

見る人、使う人に、個々の気色を感じてもらえる作品作りに色金の存在は欠かせません。

 

2、宝石

宝石と金属が調和する作品づくり

私の作品は、出会った宝石に一目惚れしてそれに合わせて作る時と、先に作品が決まっていて、それに合う宝石を探したり、カットしてもらう時の両方があります。

いずれにしても、完成した時に一つの確かな世界観を感じられるように心がけています。

一見、色鮮やかな宝石と奥ゆかしい発色をする色金の組み合わせは合わないように思えますが、実はとても調和する組み合わせです。

どちらも地球が長い年月をかけて作り出してくれた素材ですから、それは当然なのかもしれません。

 

3、花鳥風月

常に自然の中に創造の種が

季節や場所ごとに全く異なる表情を見せてくれる自然は、常に新しいインスピレーションを与えてくれます。 

家に居ながら世界中の美しい自然を見ることが出来る昨今ですが、それでも私は全身で自然と対峙し感じたものから作品を考えたいと思っています。

出来る限り様々な場所へ足を運び、そこから得たものを形にしたいと思っています。

 

Ⅱ. Tomoko Maedaの軌跡を辿る

1、魔法の箱

私の母は、嫁ぐ時に黒い宝石箱を持って来ました。

その宝石箱は、黒檀でできた重厚なデザインで、上面に施されたクラッシックな彫刻が印象的なものでした。

それを母が開ける時は、顔をピッタリとくっつけて中からキラキラと光るジュエリーが顔を出すのを眺めるのが好きでした。

ある日私は、母が出かけた時間を狙って、ずっとやりたくってやりたくって仕方がなかった「あの事」を決行します。

 

「あの事」とは

 

静かな母の部屋で

黒く重そうな蓋をドキドキしながら開けたその瞬間、強いスポットライトで色が飛んだような真っ白な世界が見えました。まるで宇宙全ての星が、そこに詰まっているような眩い世界。

 

わぁ!きれい!

 

オルゴールの音と

香水の香り。

 

気分は異国の舞踏会で踊るお姫様でした。

もちろん、隣には王子さまが。

 

2.父の工場

私の父は機械工場を営んでいました。

あまり友達が多くなかった私は、学校が終わると父の工場へ行くこともありました。

すると父は工場の梁に、製品を吊り下げるための頑丈なチェーンを2本下げて、木の板をそのチェーンに取り付けてくれました。

ブランコの出来上がりです。

すごい!すごい!!と感動しました。

得意満面でブランコを漕ぐ楽しかった記憶。

 

また、工場では毎日たくさんの鉄屑が出ます。

その鉄屑を使って何やら工作もしました。

錆びた鉄も、グラインダーをかけるとピカピカになります。

溶接機を使うと鉄と鉄がくっつきます。

いちいちそんな事に感動して、訳の分からないものを作っていました。

よく子供にグラインダーや溶接機の使い方を教えたなぁと今は思いますけれど。

 

 3.上野公園

子供の頃から今までに何度足を運んだでしょう。

遠足、写生会、音楽鑑賞会、美術鑑賞会。

初めてパンダを見たこと

噴水広場でお弁当を食べたこと

クラシック音楽を聴いたこと

考える人は何を考えているのだろうと思ったこと。

 

時は過ぎて

 

受験、大学通学。

緊張し過ぎてよく覚えてない現役での受験

受験番号がないことを確認しに行ったこと

逆に、合格者の中に番号があることを確認しに行ったこと

藝祭で神輿を担いでねり歩いたこと

 

どれもが良き思い出です。

 

さらに時が経ち、

ジュエリーの仕事をする私ですが、お隣の御徒町がジュエリー街なので相変わらず上野公園にも出没しています。

 

4.導かれたように

このように、幼い日から今までの事を振り返ると、私が金属作品やジュエリー作りに導かれた軌跡が鮮明になります。

大学で金属の伝統工芸技法を学んだ私は、今は色金や和彫りの技法をジュエリー作りにも取り入れ、独自の世界観を表現しようと日々研究しています。

でも一番大切なのは、

そんな私の作品を身につけて、幼い頃に感じたあのワクワク感と幸せな気持ちが皆さんにも伝わることなのです。

これからも私のジュエリーをお楽しみください。

アトリエKELEN

 

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