「駆ける音の残響」—— 想像上の人物に捧げるオーダーメイドジュエリー

「駆ける音の残響」—— 想像上の人物に捧げるオーダーメイドジュエリー

0. プロローグ

このリングのはじまりは、「ある物語の中の人物を、そっと身近に感じていたい」──
そんな依頼主の静かな願いからでした。

その人物は、困難を乗り越え、自分の弱さに向き合い、
最後には大切な誰かのために生きた、強く優しい存在。
依頼主にとっては、心の支えであり、見守ってくれる“守護”のような存在でもあります。

「彼の存在を、自分の内側に宿したい」
そんな願いから、ジュエリーというかたちに託されたのは、
彼の眼差し、静かな意志、そして駆け抜ける魂のエネルギー。

このリングは、“想像上の人物との絆”を身にまとう、唯一無二のアートピースです。


 

1.デザインのこだわり:想いをかたちにするプロセス

ご依頼を受けた当初、デザインの軸となったのは、ある架空の人物に込められた3つの要素でした。

  1. 髪の色
  2. 瞳と唇に宿る色彩
  3. 駆ける馬の象徴である“蹄鉄”

それぞれが、依頼主の心に深く刻まれていたものでした。
この人物に対する思いは、単なるファンの愛着を超え、自分を鼓舞し、支える存在としての祈りにも似たものを感じました。

その思いに誠実に応えるために、私は作品の背景となる物語を深く理解しようと決めました。
物語に触れることで、その人物の精神性や行動の美学を心に落とし込み、「想いを宿すジュエリー」を構想する準備を整えました。


2. スケッチに込めた二つの提案

最初の提案は、重ねて着けられるスタックリング。
一方は馬蹄を象ったリング、もう一方は瞳を象徴するスクエアカットの石を配したシンプルなリング。
2本を重ねても単体でも美しく、着け方によって印象が変わる設計です。

次にご提案したのは、馬蹄型のバックルをメインモチーフとしたリング。
想いを真っすぐに受け止めるような、堂々とした佇まいを意識したデザインです。

最初のスタックリングは、柔らかな印象で女性らしい繊細さがありました。
対して、馬蹄バックル型は、静けさと力強さを併せ持つ佇まい。

最終的に依頼主が選んだのは後者。
「まさに思い描いていた通り」と微笑むその声に、私の手もまた確信を得たのです。


仕上がりを見据えたディテール設計

完成イメージを共有するため、細部の設計にもこだわり、様々な角度からのスケッチを描きました。
石の配置や留め方、横から見たときの立体感まで──すべては、「物語を宿すジュエリー」にふさわしい佇まいを整えるためです。

このように、「誰かの強い思い」に触れることは、私にとっても創作の原点に立ち返る瞬間でした。
ジュエリーとは、装飾ではなく対話であり、祈りであり、物語です。


 

3. 制作プロセス

このリングは形が特徴的なので、ワックスという素材を用いてリングの原型を作り、それを鋳造する加工方法で作りました。

このリングは形が特徴的だったため、ワックスという素材を用いて原型を作り、それを鋳造する技法で仕上げました。

制作は、いつも静寂の中からはじまります。
アトリエの静けさのなか、塊の中から魂を探り出すように、ひと削りずつ丁寧にワックスを彫っていきます。

馬蹄をモチーフにしたこのデザインは、全体にボリュームがあり、さらに馬蹄とリング部分で異なるフォルムのペリドットを使用するため、石留めの美しさと構造のバランスを両立させる必要がありました。

ペリドットの配置と角度、爪の高さや数に至るまで、細部を何度も微調整しながら慎重に彫り進めていきました。

ラウンドとスクエア、形の異なるペリドットは、それぞれ同じ色味のものを探し、ひとつひとつ買い付けています。

鋳造後は金属を丹念に磨き、刻印を打ち、そして最後に石を留めて仕上げます。

石留めの瞬間は、私にとって最も緊張感のある場面です。
それは“想い”が“かたち”へと昇華する、たったひとつの瞬間だからです。

ただ一人のためのかたちを探り続けた時間——
完成のとき、アトリエに響いたのは、静かに鳴る金属の音と、胸の奥に残る余韻でした。


 

4. お客様の声より

“このリングは、私の守護神になると思っています。”

今回は「ジョジョの奇妙な冒険 Part7 Steel Ball Run」に登場するGyro Zeppeli(ジャイロ・ツェペリ)をイメージしたリングを作っていただきました。
原作の通り、土台のゴールドは彼の髪の色、ペリドットは彼の唇と目の色を表し、彼が乗る馬にちなみ、蹄鉄のモチーフは絶対に取り入れたかったのです。

彼は実在しない人物ですが、自分の弱さを知り、それを乗り越えようとした人。
最後には自身の目的よりも友人を優先し、静かにその使命を終えます。
そんな姿に惹かれ、私にとってこのリングはまるで彼から贈られた形見のような存在になりました。

身に着けるたびにエネルギーが伝わってくる気がして、これから先、きっと私の守護神になってくれると信じています。

(※一部抜粋・整形)


 

5. 身にまとうことで、物語が続いていく。

このリングは、想いをかたちに変えるプロセスの中で生まれた、世界にひとつのアートピースです。
物語を抱いたジュエリーは、ただ飾るためのものではなく、
身につけることで持ち主の心と共鳴し、新たな時間をともに紡いでいきます。

Bespoke Artworks は、そんな**“あなたの物語”をジュエリーとしてかたちにする場所**です。
心から生まれたジュエリーは、いつかきっと、心を守る存在になるはずです。

あなただけの物語を、ジュエリーというかたちにしてみませんか?
オーダーメイドのご相談はLINEよりお気軽にどうぞ。

Tomoko Maedaを友だちに追加

ご相談の前に、オーダーメイドの流れを詳しく知りたい方は、下記の特設ページをご覧ください。

【Bespoke Artworks 】あなたのジュエリーを作りませんか?

オーダーメイドについて詳しく知る ➤

 

ブログに戻る